親子のきずな広場

学齢期の子どもの「得意」を伸ばす、「苦手」と向き合う:親ができる実践的な関わり方

Tags: 子育て, 学齢期, 得意・苦手, 個性, 成長

学齢期の子どもの個性とどう向き合うか

子どもたちが学齢期に入ると、学校での学習や様々な活動を通して、その個性や得意なこと、苦手なことがよりはっきりと見えてくるようになります。親として、我が子の成長を喜びながらも、「この子の得意をどう伸ばしてあげられるだろうか」「この苦手にはどう寄り添うべきだろうか」と考える機会が増えるのではないでしょうか。

私たち経験のある親世代は、これまでの子育ての中で、子ども一人ひとりの違いを肌で感じてきました。上の子が歩んだ道が、下の子には当てはまらないということも少なくありません。特に学齢期は、子どもたちが社会との接点を広げ、自己認識を深めていく大切な時期です。この時期に親がどのように子どもたちの「得意」と「苦手」に寄り添うかは、その後の自己肯定感や学習意欲、そして主体性にも影響を与え得ると考えられます。

「得意」を見つけるための多角的な視点

子どもの「得意」は、必ずしも学校の成績だけで測れるものではありません。算数が得意、絵を描くのが好き、友達と仲良くするのが上手、ものづくりに集中できる、といったアカデミックな領域から非認知能力に関わるものまで、様々です。

親が子どもの得意を見つけるためには、日常生活の中での多角的な観察が欠かせません。 - 何に時間を忘れて没頭しているか:好きな遊び、熱中していること。 - どんな時に目を輝かせているか:興味を持っている話題や活動。 - 人から褒められて嬉しいと感じていること:他者からの肯定的な評価。 - 困難な状況でも粘り強く取り組めること:困難を乗り越える意欲。

これらの観察を通して、「これが得意かもしれない」というヒントを見つけることができます。大切なのは、親の価値観や期待を押し付けず、子ども自身の興味や関心に寄り添うことです。例えば、親は運動が得意になってほしいと思っていても、子どもは読書に夢中かもしれません。その場合、読書という「得意」を見つけ、それを肯定的に捉えることが始まりとなります。他の家庭ではどのようにして子どもの得意を見つけ、伸ばしているのだろうか、と考える方もいらっしゃるかもしれません。それは、まさに多様な子育ての形があることを示しています。

「苦手」をどう捉え、どう向き合うか

一方、「苦手」についても、どのように捉えるかが重要です。苦手なことがあるのは自然なことであり、完璧な人間などいません。問題は、その苦手を「克服すべき課題」とだけ捉え、子どもを追い込んでしまうこと、あるいは逆に「どうせできない」と諦めてしまうことかもしれません。

学齢期の子どもの苦手には、様々な原因が考えられます。一時的な興味の偏り、特定のスキル習得につまずいている、学習方法が合っていない、あるいは発達の特性に関連するものなどです。

親が苦手に寄り添う上で心がけたいのは、以下の点です。 - 苦手を感情的に否定しない:子ども自身が一番気にしている可能性もあります。 - 苦手の原因を探る:なぜ苦手なのか、具体的に何が難しいのかを子どもと一緒に考えます。 - スモールステップで取り組む:一度に全てを克服しようとせず、小さな目標を設定します。 - 努力の過程を認める:結果だけでなく、苦手なことに向き合い、努力したこと自体を評価します。 - 時には「やらない」選択肢も検討する:全ての苦手を克服する必要はありません。他の得意を伸ばすことに注力することも一つの選択肢です。 - 必要であれば専門家の意見を聞く:学習上のつまずきや特定の行動に強い困難がある場合は、学校の先生や専門機関に相談することも視野に入れます。

「他のご家庭では、子どもの苦手とどう向き合っているのだろうか」という疑問を持つことは、決して一人で抱え込む必要がないという気づきにつながります。多様なアプローチがあることを知ることは、親自身の視野を広げることにもなります。

得意を伸ばし、苦手を支える実践的な関わり方

得意を伸ばすためには、その分野に触れる機会を増やすことが効果的です。関連する本や資料を提供する、体験できる場所へ連れて行く、習い事などを検討するなどが考えられます。しかし、単に機会を与えるだけでなく、子どもが自ら「やりたい」と思えるような声かけや環境づくりが大切です。「すごいね」と結果だけを褒めるのではなく、「〇〇なところが良いね」「△△しようと工夫したんだね」と、具体的な行動や努力、考え方に対して肯定的なフィードバックをすることで、子どもの内発的な動機付けを育むことができます。

苦手を支える際には、完璧主義を手放すことも重要です。できるようになることだけを目指すのではなく、「少しでも前向きに取り組めた」「難しいことでも逃げずにやってみた」といった過程を承認します。また、親自身がかつて経験した得意や苦手に関する経験を話すことも、子どもにとっては勇気となることがあります。ただし、それは「親はできたのに」というプレッシャーではなく、「誰にでも苦手なことはある」「工夫次第で向き合える」というメッセージとして伝わることが望ましいでしょう。

経験の共有から生まれる学び

子どもの得意や苦手への向き合い方に、唯一の正解はありません。家庭の環境、子どもの性格、そして親自身の価値観によって、アプローチは異なります。だからこそ、経験豊富な親同士がそれぞれの経験や考えを共有することには大きな価値があります。

他の親がどのようにして子どもの秘めた才能を見つけ、伸ばしてきたのか。苦手な分野にどのように寄り添い、共に乗り越えてきたのか。そういった具体的な話を聞くことで、自分の子育てを客観的に見つめ直したり、新しい視点を得たりすることができます。この「親子のきずな広場」が、そのような学びと共感の場となれば幸いです。

子どもたちの成長は、得意なことをさらに伸ばし、苦手なこととも上手に付き合っていく過程です。私たちはその伴走者として、子どもたちがありのままの自分を受け入れ、自信を持って未来へ進んでいけるように支えていくことができれば、と考えております。