学齢期の子どもの成長を見つめ直す:変化する家庭のルールと習慣
幼少期とは異なる、学齢期の子どもの成長と家庭の変化
幼少期の手探りの子育てを乗り越え、学齢期の子どもとの日々を送られている皆さま、こんにちは。「親子のきずな広場」編集部です。
学齢期に入ると、子どもの成長は身体的なものだけでなく、学習面、社会性、自己認識など、多岐にわたる領域で加速度的に進んでいきます。これまで当たり前だった家庭内のルールや習慣が、子どもの成長や、学校、習い事、友人関係といった外部環境の変化に伴って、少しずつ、あるいは時には劇的に合わなくなってきたと感じることはないでしょうか。
多くの経験豊富な親御さんが、この時期に「これで良かったのだろうか」「これからどうすれば良いのだろうか」と、かつては機能していた家庭のあり方を見つめ直すタイミングを迎えることと思います。今回の記事では、学齢期の子どもの成長という視点から、家庭のルールや習慣をどのように捉え直し、アップデートしていくかについて、経験談を交えながら考えてみたいと思います。
なぜ、学齢期に家庭のルールや習慣の見直しが必要になるのか
学齢期は、子どもが家庭という最も小さな社会から、学校や地域といったより広い社会へと踏み出していく重要な時期です。この変化が、家庭内のルールや習慣に影響を与えます。
まず、子どもの認知能力や判断力が飛躍的に向上します。単に親の指示に従うだけでなく、物事の理由を理解し、時には疑問を投げかけるようになります。これにより、これまでの「親が決めたルール」が、子どもにとっては納得できないものに映る場合があります。
次に、活動範囲が広がり、家庭外での時間が増えます。友達との約束、習い事や塾、部活動など、子ども自身のスケジュール管理が必要になります。メディアやインターネットへの接触機会も増え、それらとの向き合い方について、新たなルールや習慣の形成が求められるようになります。
そして何より、子ども自身の中に「自分でやりたい」「自分で決めたい」という自律性の芽生えが強く現れます。親としては安全や健康を第一に考えがちですが、子どもにとっては自分で考え、選択し、行動する機会こそが、成長の糧となるのです。
これらの変化を踏まえると、幼い頃に作った家庭のルールや習慣が、学齢期の子どもにとっては窮屈だったり、現実的でなかったりすることが出てくるのは自然な流れと言えるでしょう。
学齢期の子どもと「共に考える」ルール・習慣の見直し
では、具体的にどのように家庭のルールや習慣を見直していくのが良いのでしょうか。経験豊富な親御さんであれば、頭ごなしに禁止したり一方的に押し付けたりするのではなく、子どもとの対話が重要であることを既に経験から学ばれていることと思います。
学齢期においては、子どもをルールの「対象」としてだけでなく、ルールの「参加者」として巻き込んでいく視点が有効です。例えば、メディアの利用時間について見直す場合、「何時間まで」と一方的に決めるのではなく、まず子どもがどのようにメディアを利用しているのか、何を見ているのか、それについてどう感じているのかを丁寧に聞くことから始めてみてはいかがでしょうか。その上で、睡眠時間や学習時間、家族との団欒の時間などを考慮し、「メディアを上手に使うためには、どのようなルールや習慣があると良いだろうか」と、子どもに問いかけ、共に考え、合意形成を目指すのです。
このプロセスでは、親は一方的に「教える」というよりは、「問いかけ」、子どもの考えを「引き出す」役割に徹することが大切になります。子ども自身が考え、決めたルールや習慣は、受け身で与えられたものよりも、ずっと主体的に守ろうとする可能性が高いでしょう。
また、ルールや習慣は一度決めたら終わりではなく、子どもの成長や家庭の状況に合わせて柔軟に見直していく姿勢が重要です。定期的に家族で話し合う機会を設け、「このルールは今の私たちに合っているかな」「もっとこうした方が良くなるかな」といった対話ができると理想的です。
見直しのプロセスで親が大切にしたいこと
この見直しのプロセスは、親にとっても自身の育児観や価値観を見つめ直す機会となります。
- 過去の経験に固執しない: 自分が子どもの頃はどうだったか、上の子にはどうしてきたか、といった過去の経験はもちろん貴重ですが、時代も子ども自身も異なります。「前はこうだったから」という理由だけで、現在のルールを決めるのではなく、目の前の子どもの現状と将来を見据える視点が大切です。
- 「完璧」を目指さない: 全てのルールや習慣を完璧にこなせる子どもはいません。時にはうまくいかないこと、壁にぶつかることもあるでしょう。大切なのは、その時に一方的に叱るのではなく、「どうすればうまくいくか、一緒に考えよう」という姿勢で子どもに寄り添うことです。
- 他の家庭と比較しすぎない: 周囲の家庭のルールや習慣が気になることもあるでしょう。参考にすることは有益ですが、それぞれの家庭にはそれぞれの背景や価値観があります。自家庭にとって何が最適かを、家族でしっかりと話し合って見つけることが重要です。
- 親自身の学びと変化: 子どもと共にルールや習慣を見直すことは、親自身が学び、変化していくプロセスでもあります。新たな情報を取り入れたり、他の親御さんの経験談を聞いたりすることで、より良い方法が見つかることもあります。
変化する家庭のルールと習慣を通じて育まれるもの
学齢期の子どもの成長に伴う家庭のルールや習慣の見直しは、親にとっては少し手間や根気が必要なプロセスかもしれません。しかし、このプロセスを通じて、子どもは自分で考え、選択し、行動する力を育んでいきます。そして、親子の間には、指示や管理の関係ではなく、互いを尊重し、共に家庭を作っていく対等なパートナーシップの基礎が築かれていくのではないでしょうか。
他の親御さんは、学齢期のお子さんとの間で、どのようなルールや習慣について見直しを経験されたでしょうか。また、その際に大切にされた視点や、子どもとの対話で工夫されたことなど、共有していただけることがあれば、きっとこれから見直しを考えている方の大きなヒントになるはずです。
子育ての喜びも悩みも分かち合い、共に学び、繋がりながら、この変化の時期を乗り越えていくことができれば幸いです。