親子のきずな広場

学齢期の子どもの成長期、親自身が「私」を生きるということ:子育て経験がもたらす新たな視点

Tags: 学齢期, 親の成長, 自己実現, 幸福感, ライフステージ

学齢期の子どもの成長と、親自身の人生の変遷

子どもの成長は、親にとって何物にも代えがたい喜びである一方で、自身の人生を振り返り、新たな問いと向き合う機会をもたらします。特に学齢期は、子どもが自立への一歩を踏み出し、親の手から離れていくことが増える時期です。宿題や友人関係、部活動や習い事など、子ども自身の世界が広がるにつれて、親の関わり方も変化していきます。

幼少期の手厚いケアが必要な時期とは異なり、学齢期になると体力的な負担は軽減されるかもしれません。しかし、精神的なサポートや、将来を見据えた多様な選択肢への伴走など、親としての役割は質的に変化します。この変化の中で、「子育て中心」だった日々から、ふと「自分の人生」や「これからの自分」について考える時間が生まれる親御さんも少なくないのではないでしょうか。

子育て経験が「私」にもたらすもの

長年の子育て経験は、単に子どもを育てるスキルを磨くだけでなく、親自身の人格や価値観にも大きな影響を与えます。

子どもとの関わりを通じて、自身の得意なこと、苦手なこと、忍耐力、柔軟性など、意外な一面を発見することがあります。また、子どもの成長を間近で見守る中で、人生における本当に大切なものや、自身のキャリア、ライフスタイルに対する考え方が変化することもあるでしょう。予期せぬ出来事への対応や、子どもの問題に共に立ち向かう経験は、自身のレジリエンスを高め、困難を乗り越える力を養ってくれることもあります。

このように、子育ては親にとっての一種の自己探求であり、学びの連続です。学齢期になり、少し俯瞰して子育て全体を見つめ直すことで、これらの経験が自身の人生にどのような価値をもたらしているのかをより深く理解できるかもしれません。

学齢期という時期に、親自身が「私」を生きるための視点

子どもが学齢期を迎え、親としての時間の使い方が変化する中で、「私」を生きるための新たな視点を持つことは、自身の幸福感だけでなく、家庭全体の活力にも繋がります。

どのような状態を「私を生きる」と感じるかは人それぞれですが、多くの場合、それは自身の内なる声に耳を傾け、情熱や関心事を追求し、自身の成長やwell-being(心身ともに健康で満たされた状態)を大切にすることに関わるでしょう。

この時期に親自身が「私」を生きるための具体的なアプローチとしては、以下のようなものが考えられます。

これらのアプローチは、決して「子育てをおろそかにする」ことではなく、むしろ親自身が満たされていることが、結果として子どもへのより質の高い関わりや、家庭の安定に繋がるという考えに基づいています。子どもは親の背中を見て育つと言われるように、親が自身の人生を楽しんでいる姿を見せることは、子どもにとって最高の教育の一つになり得ます。

経験を共有し、共に考える

学齢期の子どもを持つ親御さんの中には、子育て経験が豊富だからこそ、「今さら自分のことなんて」「もうこの年齢で新しいことを始めても」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これまでの子育てで培ってきた経験、忍耐力、問題解決能力などは、まさにこれからの「私」の人生を切り拓くための貴重な財産です。

そして、同じように子どもの成長と共に自身の人生について考え始めている他の親御さんも多くいらっしゃいます。それぞれの経験や考えを共有し合うことは、自身の状況を客観視したり、新しい視点を得たりする上で非常に有益です。他の家庭ではどのように自身の時間を作り、どのようなことに挑戦しているのか、情報交換をしてみることも、自身の「私」を生きるヒントになるでしょう。

学齢期の子育ては、子どもが社会の中で自身の居場所を確立していく大切な時期ですが、同時に親自身がこれまでの経験を統合し、これからの人生をどのように創造していくのかを考える豊かな機会でもあります。子どもの成長を喜びながら、自身の人生にも目を向け、「私」という存在を大切に育んでいくことが、親子のきずなをより一層深めることにも繋がるのではないでしょうか。